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加齢黄斑変性って、どんな病気?―「年のせい」とあきらめる前に知ってほしい、目のこと―

「最近、なんだか視界の中心がゆがむなぁ」 「新聞の文字が読みづらくなった気がする」

そんな風に感じている方はいませんか? 「もう年だから…」と見過ごされがちなその症状、もしかしたら**“加齢黄斑変性”**という目の病気が原因かもしれません。

日本の高齢化とともに、この病気は決して他人事ではなくなっています。この記事では、あなたの目の健康を守るために知っておきたい原因や治療、予防法を、どこよりもやさしく解説します。

そもそも「加齢黄斑変性」とは?

一言でいうと、「見る」機能の重要な役割をを担う網膜の中心部分(黄斑)が、年齢とともにダメージを受ける病気です。

黄斑は、カメラでいえばフィルムのど真ん中。私たちが本を読んだり、人の顔を認識したりするために、最も重要な役割を果たしています。この部分に異常が起きると、次のような症状が現れます。

  • 視界の中心がゆがんで見える(カレンダーの枠線が波打つなど)
  • 真ん中が暗く、見えにくい
  • 文字がかすんで読みにくい

この病気には、大きく分けて2つのタイプがあります。

  • ゆっくり進行する「萎縮型(ドライタイプ)」 網膜が徐々にやせていくタイプで、進行はゆるやかです。
  • 急に悪化しやすい「滲出型(ウェットタイプ)」 異常な血管(新生血管)ができて、出血やむくみを引き起こすタイプ。急激な視力低下につながることがあります。

なぜ、この病気になるの?【原因とリスク】

原因は一つではありません。年齢を重ねることに加え、遺伝、生活環境や日々の生活習慣が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  • 加齢:一番の要因。50歳を過ぎると誰にでも可能性があります。
  • 喫煙:大きなリスク! タバコは血管を傷つけ、病気の引き金になります。
  • 生活習慣病:高血圧や肥満は、全身の血流を悪化させ、目に影響を与えます。
  • 紫外線:強い日差しは、目にとって大きな負担です。
  • 食生活の乱れ:特に緑黄色野菜が不足しがちな方は要注意です。
  • 遺伝:ご家族に同じ病気の方がいる場合は、少し気にかけておくと良いでしょう。

これらの要因が重なると、目のなかに“老廃物”が溜まり、それが引き金となって悪い血管が作られ、大切な視機能を損なってしまうのです。

どんな治療法があるの?

現在、主に**「滲出型(ウェットタイプ)」**に対して、進行を抑えるための治療法があります。

  1. お薬を目に注射する治療(抗VEGF薬療法) 悪い血管の活動を抑えるお薬を目に直接注射します。現在の主流な治療法で、多くの患者さんで視力の回復・維持が期待できます。効果を持続させるため、定期的な通院が必要です。
  2. 特殊なレーザーで悪い血管をたたく治療(光線力学療法) 点滴で薬を投与した後、ごく弱いレーザーを当てて悪い血管だけを狙い撃ちする方法です。

残念ながら、**「萎縮型(ドライタイプ)」には、まだ確立された治療法がありません。だからこそ、次に紹介する「予防」**がとても重要になります。

今すぐ始められる!【予防とセルフケア】

この病気を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らし、進行を遅らせるためにできることがあります。

  • 何よりもまず禁煙! 喫煙は最大の危険因子です。ご自身と、大切な人のためにも禁煙を考えましょう。
  • 食生活を見直す ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜を積極的に摂りましょう。目に良いとされる「ルテイン」という成分が豊富です。バランスの取れた食事が難しい場合は、医師に相談の上で、専用のサプリメント(ビタミンC・E、亜鉛など)を補助的に使う方法もあります。
  • 太陽から目を守る 日差しが強い日は、サングラスや帽子を習慣にしましょう。
  • 眼科で定期チェック 50歳を過ぎて、少しでも違和感を覚えたら一度は眼科で検査を受けることをお勧めします。病気は、自覚症状がないうちから始まっていることもあります。

▼より詳しい「治し方」に興味がある方へ

この記事でご紹介した治療法について、「『目に注射』って、実際どうなの?」「もっと具体的に知りたい」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

別のコラムでは、最新の治療法だけに絞って、より一歩踏み込んだ詳しい解説をしています。治療の流れや痛みなど、患者さんが感じる不安にもお答えしていますので、ぜひあわせてお読みください。

→【コラム】加齢黄斑変性の治療、あきらめないで!―最新の「治し方」と上手に付き合うコツ― (リンク予定)

まとめ:あなたの「見える」を守るために

加齢黄斑変性は、放置すれば日常生活に大きな支障をきたす怖い病気です。しかし、早く見つけて適切な対策を始めれば、病気の進行を食い止め、大切な視力を守れる可能性が高まります。

「ちょっと変だな」と感じたら、決して自己判断せず、お近くの眼科に相談してください。それが、これからも豊かな「見る」生活を続けるための、最も確実な一歩です。

最後に. オンライン診療という選択肢も

目の症状があるとき、「病院に行く時間がない」「すぐには予約が取れない」と感じる方も多いでしょう。そんなときは、スマホやパソコンから気軽に相談できるオンライン眼科診療を活用するのも一つの方法です。

眼科オンライン診療を行う「てのひら眼科」では、症状の写真と事前問診をもとに、眼科医が目の状態を確認し、必要に応じて処方や対処法を提案してくれます。自宅からスマホ一つで眼科医の診察を受けられるため、安心です。

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