2025年6月30日
【医師監修】眼科医が教える、子どもの目の健康チェックリスト|目の乾きはオンラインで相談|てのひら眼科
「最近、子どもがテレビに近づいて見るようになった」「よく目を細めているけれど、大丈夫かな?」そんな不安を感じたことはありませんか?

実は、子どもの目の異常は大人が気づきにくく、本人も自覚していないケースが多いのです。視力の発達には、もっとも活発な「感受性期」があり、この時期を逃すと、治療をしても反応しにくくなります。眼科医として多くの保護者と接してきた経験から言えるのは、「家庭でのちょっとした気づき」が、子どもの視力を守る第一歩になるということです。
この記事では、視力の発達や目の異常がなぜ見逃されやすいのかを解説したうえで、ご家庭でできるチェックリストや生活習慣のアドバイスをまとめました。ぜひ、お子さんの目の健康を守るヒントとしてお役立てください。
なぜ「子どもの目の健康」は見落とされやすいのか
大人と違い、子どもは「見えにくい」という状態を当たり前として受け入れてしまうことがあります。たとえば片目だけが見えにくい場合でも、もう片方の目がカバーしてしまい、本人が違和感を持たずに日常生活を送ってしまうことがあるのです。
また、3歳児健診や学校の視力検査では視力異常を見つけにくいケースもあります。特に軽度の弱視や斜視などは、医療機関での専門的な検査をしなければ発見が難しいこともあります。
そのため、「見えにくそうにしていることは無いから大丈夫」と思い込まず、日常の中で注意深く観察することが大切です。
視力はどう育つ?子どもの目の発達のしくみ
人間の視力は、生まれたときにはほとんど機能しておらず、成長とともに周囲からの刺激によって発達します。視力の発達は1歳半頃にピークを迎え8歳頃に低下するという特徴があります。
この時期に左右で目のピント位置が大きく異なる「不同視」や、外見上わかりにくい「遠視」などを放置してしまうと、視機能がうまく発達せず、将来的に矯正しても視力が出にくくなる「弱視」の原因になります。
つまり、視力は「成長すれば自然とよくなる」ものではなく、適切な時期に正しく育てる必要があるのです。3歳児眼科健診は、弱視や斜視の有無を早期に見極め、適切な時期に治療を開始するために重要なスクリーニングです。
家庭で使える!子どもの目の健康チェックリスト
子どもの目の異常にいち早く気づくためには、毎日の生活の中で注意すべきポイントを知っておくことが大切です。以下は、眼科医の視点からまとめた「全年齢共通のチェックリスト」です。
子どもの目の健康チェックリスト(全年齢共通)
□ テレビやスマホを異常に近くで見る
□ 顔を傾けてものを見るクセがある
□ 頻繁に目をこする、まぶしがる
□ 片目を隠すと嫌がる
□ よく物にぶつかる、つまずく
□ ぬり絵や絵本などで集中力が続かない、落ち着きがないように見える
□ 絵本や文字を読むときに顔が近い
□ 見えにくい場面でイライラしたり、不機嫌になる
□ 黒板やテレビの文字を見間違えることが多い
□ 勉強中に「疲れた」と目をさすることが多い
□ 強い光を極端に嫌がる
□ 目の位置がずれて見える
□ 黒目が揺れているように見える
□ 写真を撮ったときなど猫のように黒目が白く光る
□ 黒目の大きさが左右で違う
□ まぶたがさがっている
これらのチェック項目にひとつでも該当する場合は、眼科受診を検討しましょう。特に複数当てはまるようであれば、専門的な検査が必要です。
チェック項目の背景にある目の病気とは?
チェックリストで挙げた行動やしぐさの背景には、実際にさまざまな目の病気が隠れている可能性があります。ここでは、いくつか代表的な疾患について紹介します。
■ 弱視
視力が発達する時期に、何らかの目の異常があるせいで視力が育たない状態です。屈折の異常や斜視、あとはまぶたや目の中の異常でも弱視は起こります。
■ 斜視
両眼の視線が揃わず、片方の目が内側や外側にずれる状態です。放置すると視力の発達が遅れたり、両目を使って物を立体的に見る力(立体視)が育たなくなることがあります。
■ 屈折異常(近視・遠視・乱視)
ピントが正しく合わない状態です。近視では遠くが見えづらく、遠視では近くも遠くも見づらいことがあります。近視があると目を細めたり顔を近づけたりすることがあり、遠視では近くを見る際に疲れやすかったり集中力がもたなかったりします。
■ 網膜や視神経の異常
まれに、網膜や視神経に先天的な異常があることもあります。眼振(目が揺れる)や、写真で黒目が白く写る(白色瞳孔)場合は、早急に眼科での精密検査が必要です。
子どもの目の検査って何をするの?眼科受診の流れ
「眼科に行ってもちゃんと検査できるの?」「何歳から受診できるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。実際には、0歳児でも眼科受診は可能で、多くの眼科では年齢や発達段階に応じた検査機器や工夫を取り入れています。気になることがある場合は年齢が小さくても眼科受診をして下さい。
■ 視力検査
年齢によって方法が異なります。3歳未満では絵を使ったり縞模様を使った検査、3〜5歳ではランドルト環(Cの字型)を使った視力検査が行われます。就学前検査は弱視を見つける大切なタイミングです。
■ 眼位検査
斜視の有無を調べる検査です。光を当てたときの反射や、目の動きの観察によって、目の位置のずれを確認します。
■ 屈折検査
近視・遠視・乱視の程度を調べます。調節麻痺剤(目薬)を使って正確な屈折状態を測定する「サイプレジン検査」も重要です。一般的な検査は3歳くらいから可能ですが、近年は0歳児から検査可能な機器もあります。
■ 眼底検査・眼球運動検査など
必要に応じて、目の奥(網膜や視神経)を調べる検査や、眼球の動きのバランスを確認する検査も行われます。
よくある誤解と正しい知識
「小さいうちは視力が悪くても治る?」
→ 必ずしも自然に治るわけではありません。視力が育つ「感受性期(おおよそ6歳まで)」を逃すと、治療しても回復が難しくなる場合があります。
「片目が悪くても、もう片方が見えていれば大丈夫?」
→ 一見、生活に支障がないように見えても、二つの目を使って立体的に視る機能が育たなくなることがあります。
「眼鏡をかけると目が悪くなるのでは?」
→ 誤解です。むしろ、適切な眼鏡装用は目の成長を助け、視力の発達に不可欠なことがあります。特に弱視の治療では、眼鏡が最初の一歩です。弱視の眼鏡はいつもかけている必要があります。
スマホ・タブレットは目に悪い?子どもの目とデジタル機器の関係
現代の子どもたちは、幼いころからスマホやタブレットに囲まれて育っています。これは便利な一方で、目への負担も大きくなっています。
■ 近視進行のリスク
近くを長時間見続けると、眼軸が伸びて近視が進行しやすくなります。特に視力の発達に重要な時期である乳幼児期は、デジタル機器の使用は極力少ない方が望ましいです。デジタル機器の長時間使用は外遊びの減少につながります。
■ 眼精疲労・ドライアイ
画面を凝視し続けることでまばたきが減り、目が乾いたり、ピント調節の筋肉が疲れて目の疲れを引き起こすこともあります。
■ 推奨される使い方
• 画面との距離は30cm以上あける
• 30分ごとに30秒以上遠くを見る
• 明るい場所で見る(暗い場所はNG)
• 寝る前の1時間は画面を見せない
デジタル機器は、上手に使えば教育や遊びの有用なツールになります。完全に禁止するのではなく、「目に優しい使い方」を意識しましょう。
目の健康を守るために、今日からできる生活習慣
子どもの目を健やかに育てるために、日々の生活でできることを積み重ねていくことが大切です。
■ 外遊びを増やす
太陽の光を浴びる時間が多いほど、近視の進行が抑えられることがわかっています。1日平均2時間以上の屋外活動が推奨されています。
■ 睡眠をしっかりとる
目の筋肉が疲れを回復させるには十分な休息が必要です。早寝早起きの習慣を整えることは、目の健康にも直結します。
■ 正しい姿勢と明るい環境
読書や勉強の際は、姿勢と照明にも気を配りましょう。暗い部屋やうつ伏せの読書は避けてください。
まとめ:小さなサインを見逃さず、子どもの未来を守ろう
子どもの目の異常は、初期にはわかりにくく、保護者の観察と気づきが重要です。「ちょっと変だな」と感じたときには、それが目の発達のSOSサインかもしれません。
子どもの視力は一生の宝です。正しく育てるためには、早期発見と適切な対応が何よりも大切です。この記事のチェックリストを参考に、日々の生活の中でお子さんの目に意識を向けてみてください。
そして、不安があれば遠慮なく眼科を受診しましょう。専門家による診察とアドバイスが、子どもの未来の可能性を広げてくれます。
最後に. オンライン診療という選択肢も
最後に. オンライン診療という選択肢も
目の症状があるとき、「病院に行く時間がない」「すぐには予約が取れない」と感じる方も多いでしょう。そんなときは、スマホやパソコンから気軽に相談できるオンライン眼科診療を活用するのも一つの方法です。
眼科オンライン診療を行う「てのひら眼科」では、症状の写真と事前問診をもとに、眼科医が目の状態を確認し、必要に応じて処方や対処法を提案してくれます。自宅からスマホ一つで眼科医の診察を受けられるため、安心です。
【監修者情報】

⽒名:松村 沙衣子
所属:東邦大学医療センター大盛病院
専⾨:近視、小児眼科
日本眼科学会認定眼科専門医。
2002年に東邦大学医療センター大森病院に入局。博士課程修了後、同院助教、済生会横浜市東部病院眼科医長を歴任。2017年にはシンガポール国立眼センターにてクリニカルリサーチフェローとして海外留学。2023年より現職。
日本眼科学会、日本眼科医会、東京都眼科医会、日本近視学会、日本小児眼科学会、日本弱視斜視学会、日本神経眼科学会、日本アレルギー学会、日本コンタクトレンズ学会などに所属。オルソケラトロジー認定医、ボトックス認定医、SOS-J会員。


