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「お正月の片付け」で急増する3つの目の事故と対処法| 眼科医が診察| てのひら眼科

新しい年を迎え、日常に戻る準備を進めている方も多いことでしょう。年末に間に合わなかった場所の掃除など、お正月明けの片付けに追われていませんか?

実は、この時期は「掃除中の目のトラブル」で眼科に駆け込む方が急増するシーズンでもあります。「洗剤が入った」「ホコリで目が開かない」といったトラブルは、決して珍しいことではないのです。中には一瞬の不注意が、視力に永続的なダメージを与える深刻なケースも……。

今回は、意外と知られていないお正月の片付けに潜む「3つの危険な落とし穴」と、万が一の時の運命を分ける「初動対応」について解説します。

なぜ今? 休み明けの掃除が「目の事故」を招く理由

普段通りの掃除なら起きないような事故が、なぜこの時期に多発するのでしょうか。 最大の要因は、「不慣れな作業」「強力な洗剤」の組み合わせです。

油汚れを落とすための強力な薬剤、溜まりに溜まったホコリ、そして大量のゴミ出し。これらにお正月特有の注意力の低下が加わることで、とっさの防御反応が遅れ、目への被害が拡大してしまうのです。

要注意! お正月に多発する「3つの事故」

特に注意が必要なのが、以下の3つのシチュエーションです。

【危険1】油汚れ用洗剤・漂白剤の「跳ね返り」

お餅を焼いたトースターや、換気扇の掃除。ここで使う「アルカリ性」の洗剤は、目にとって最も危険な薬剤の一つです。 酸性の洗剤と違い、アルカリ性の薬剤は目の組織を溶かしながら奥深くへと浸透する性質があります。スプレーの跳ね返りや、高いところから液が垂れて目に入ると、角膜(黒目)が障害され、最悪の場合は失明に至ることもあります。

【危険2】頭上から降り注ぐ「ハウスダストの塊」

天袋の整理や、エアコンの上、カーテンレールの掃除など、目線より高い位置の掃除も要注意です。 積もったホコリの中には、ダニの死骸やカビの胞子、時には鋭利な金属片などが含まれています。これらが目に入ると、激しいアレルギー反応を起こしたり、角膜にゴミが刺さる「角膜異物」の原因となり、目を開けられないほどの激痛に襲われます。

【危険3】段ボールなどによる「強打・切創」

お取り寄せグルメの発泡スチロール、ネット通販の段ボール、おもちゃの硬いプラスチック梱包など、年始は「固いゴミ」が大量に出ます。 これらを解体する際、ハサミを入れた瞬間に結束バンドが弾け飛んで目に直撃したり、段ボールの角が目に刺さったりする事故が非常に多いのです。紙やプラスチックの切り口は鋭く、角膜を深く傷つける恐れがあります。

もし洗剤が目に入ったら? 運命を分ける「最初の10分」

どんなに気をつけていても、事故は起こり得ます。もし洗剤などの薬品が目に入った場合、その後の視力を守れるかどうかは、直後の行動にかかっています。

  1. 鉄則は「病院を探す前に、まず洗う」 洗う前にスマホで病院を検索してはいけません。薬剤が浸透するのを防ぐため、1分1秒でも早く洗い流す必要があります。
  2. 流水で、まばたきをしながら10分以上 洗面器の水ではなく、水道水(弱めの流水)を目に直接当て続け、最低でも10分〜15分は洗い続けてください。
  3. 絶対にこすらない 違和感からこすりたくなりますが、こすると角膜の傷が広がってしまいます。

Point :コンタクトレンズは、無理に外そうと時間をロスするより、つけたまま洗い始めて構いません

(洗っているうちに自然と外れることが多いです)。

トラブルを防ぐ「お守り習慣」3選

事故を未然に防ぐために、掃除や片付けの際は以下の3つのポイントを必ず守ってください。

  • 「保護メガネ」をかける: 100円ショップの伊達メガネや、花粉症用メガネで十分です。物理的に目を覆うことが、洗剤の飛沫から目を守る一番の近道です。
  • スプレーは「布」に吹き付ける:目線より高い位置や、顔に近い場所へ直接スプレーするのは避けましょう。自分に降りかかってくるリスクがあります。必ず雑巾やスポンジに吹き付けてから拭くのが安全です。
  • 手袋をしたまま目を触らない:ゴム手袋には高濃度の原液が付着している可能性があります。髪をかき上げたり、汗を拭ったりする拍子に、液が目に入らないよう注意しましょう。

まとめ:その「ひと手間」が、一生の視力を守ります

大掃除や片付けは、家をきれいにするためのものですが、そのために目を傷つけてしまっては元も子もありません。 特に「洗剤」を扱うときは、劇薬を扱っているという意識を持ち、必ずメガネで防護してください。

最後に. オンライン診療という選択肢も

目の症状があるとき、「病院に行く時間がない」「すぐには予約が取れない」と感じる方も多いでしょう。そんなときは、スマホやパソコンから気軽に相談できるオンライン眼科診療を活用するのも一つの方法です。

眼科オンライン診療を行う「てのひら眼科」では、症状の写真と事前問診をもとに、眼科医が目の状態を確認し、必要に応じて処方や対処法を提案してくれます。自宅からスマホ一つで眼科医の診察を受けられるため、安心です。

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